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免疫療法と呼ばれるものには下記のようにさまざまな治療法がある。ガンと免疫力は関係が深いことは分かっているので、臨床でも取り上 げられているが、現段階ではいずれも代替療法の類に入り、治療効果も限定的とされている。ただ今後は遺伝子工学研究の進展に合わせて新しいガン治療の柱になる可能性があると期待が寄せられている。
●免疫療法とは
人間は本来、病気やけがに対して自分で治そうとする力(免疫力)を持っている。血液中のリンパ球がその免疫力の中心としての役割を担 っており、リンパ球の病気に対する攻撃力が高いほど病気になりにくい、あるいは病気に対抗する力が強い。「免疫療法」はこの人体の免疫システムに着目した療法で、リンパ球の持つガン細胞を殺す能力を高める(免疫能を高める)ことでガンを治療しようという療法で
ある。
●免疫療法の種類
人体の免疫システムに着目した「免疫療法」には次のような種類がある。
1.健康食品・サプリメントによる免疫療法
キノコ類、はちみつ類、中国生薬類など。
2.精神的サポートによる免疫療法
精神的に前向きに生活する、「生きがい」をもつ、あるいは「笑 う」ことなどにより免疫作用を高めようとする。
3.サイトカイン療法
サイトカインは免疫細胞から分泌され、他の免疫細胞にその働きを促す物質。適当なサイトカインをガン患者に投与すればガンに対する 患者の免疫システムを増強できるのではないかという考え方で研究されたのがこの療法。「インターフェロン」もサイトカインの仲間。イ
ンターフェロンは免疫細胞が分泌するたんぱく質の一種、このたんぱく質はウィルスに対抗する薬として見つかったが、後にガンの治療効果を持つことが分かった。サイトカイン療法は最初は患者に発熱や、血圧の低下、肺水腫などの副作用が出て良い効果は得られなかった。
その後、投与法の工夫などで改善が見られるようになってきている。さらに最近ではガン細胞を自殺に導くサイトカインや血管の成長を妨 害するサイトカインが見つかっている。
4.養子免疫療法
養子免疫療法はリンパ球を体外で活性化(免疫能を高めること)し、活性化されたリンパ球(免疫能の高められたリンパ球)を培養後体内に戻すことでガン細胞を攻撃しようというもの。患者の自分の細胞を体外に「養子」に出して、他人に育ててもらうことからこう名づけられた。1980年代ガン患者の血液中のリンパ球をインターロイキン2とともに数日間培養すると、「キラー細胞」の一種に変身することが分かった。そこで培養したこのキラー細胞を患者の体内にもどす試みがされた。その結果、皮膚がんや腎臓ガンなどの一部のガンではある程度の効果が見られたが、その他のガンでは十分な治療効果は得られなかった。その後も種々な研究が続けられ、「腫瘍浸潤リンパ球(TIL) 」を経て、現在では細胞傷害性リンパ球(CTL)」という患者のガン細胞だけを効果的に攻撃するようなリンパ球での治療法の研究が進められている。
5. モノクローナル抗体療法
免疫システムは外部から体内への侵入者を捕らえると、それを見分けて攻撃する抗体を作り出す。ガン細胞に対しても免疫はそれだけを見 分ける抗体を作ると見られている。そこで、遺伝子工学を用いてこのような抗体を生産し、患者に投与すれば、抗体は正常な組織は無視し
、ガン細胞だけを攻撃するはずだ。1970年代、人間型のある抗体を対外で大量生産する技術が開発され、これによって生産される抗体は単 一の抗体のコピー(クローン)であり、「モノクローナル抗体」と呼ばれる。こうしてモノクローナル抗体を薬としてがん患者に投与する
治療法が始まったが、抗体がガンを排除するためにどの程度の役割を演じるのか未だに十分には分かっていない。現在も継続して治療の効 果を高める手法が研究されているが、効果は悪性リンパ腫や乳ガンなどに限られている。
6. ワクチン療法
ワクチンは感染力を非常に弱くした細菌やウィルスなどの病原体やその毒素から作られるワクチンを人間に接種すると、体内で病原体と 闘う抗体が作られるため、その人が次に同じ病原体にふれても病気にかからなくてすむ。ガンについてもワクチンの研究は進められている
。ただし、このワクチンは予防のためではなく、治療のためである。ガン細胞に特有な成分をほんの少しだけ患者の体内に送り込み、ガン に対する抗体が体内で作り出されるようにする。ガンワクチンのアイディア自体は古いがガン細胞だけが持つ物質を探すことが難しくなかなか実現しなかった。しかし、1990年代前半にメラノーマ(皮膚がん)からガン特異抗原の一種が発見され、これを皮切りに個々のガンに特有の
抗原がいくつも見つかり、遺伝子レベルでの研究が進んでいる。
7. 遺伝子治療
1990年、アメリカではじめて免疫システムを利用したガンの「遺伝子治療」が行われた。ガンに対抗する免疫反応を起こすさまざまな サイトカインの遺伝子をガン細胞や患者の正常な細胞の一種に入れる。ついで、ガン細胞の場合は放射線を当てるなどして増殖できないようにした上で、細胞を患者の体内に再移植する。こうするとサイトカインが効率的に生産され、ガンに対する患者の免疫力が高まる。また
、細胞傷害性Tリンパ球や腫瘍浸潤リンパ球はガン細胞を攻撃する能力を持つので、これらの細胞に遺伝子を組み込んで、ガン細胞を見分 けやすくしてから増殖させ、患者の体内に送り込む方法も試みられている。
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